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🖋️ デルフォニックス社長の創造性論!
区民、区内事業者、若い世代日常が続くこのまちから生まれる 上質なクリエイティブ
New Year's Conversation
新春特集、今年は区内企業2社の社長をお招きしました。区内に本社を構える理由や両社の経営理念のほか、令和7年の振り返りや今年の抱負などを語っていただきました。
目黒から生まれる創造性
区長:あけましておめでとうございます。今年は区内の企業2社の社長をお招きし、令和7年を振り返りつつ、今年の抱負や未来の展望をお聞きしたいと思います。では、まずお二人の自己紹介と会社紹介からお願いいたします。
工藤:株式会社スープストックトーキョー取締役社長の工藤萌と申します。スープ専門店の「Soup Stock Tokyo」を全国に約70店舗展開しており、従業員は約2,000人です。区内では、中目黒と自由が丘に店舗を構えています。最近は物販にも力を入れ、冷凍のスープをオフィスやスーパー、病院などに卸しています。創業して25年経ちますが、平成18年に中目黒へ拠点を移してから、今年でちょうど20年になります。当社の企業理念は「世の中の体温をあげる」というもので、スープで心の体温を上げたいと考えています。その実現に向け、「Soup for all !」という考え方を持って、食のバリアフリーにも力を入れています。私自身は、大手化粧品メーカーでマーケティングに携わった後、ベンチャー企業の経営を経て約2年前に当社の社長に就任しました。
佐藤:株式会社デルフォニックス代表の佐藤達郎です。当社はオリジナルのステーショナリーや雑貨などの企画・販売を手がけるほか、「DELFONICS」や「Smith」などの直営店を運営しています。
【株式会社デルフォニックス 代表取締役社長 / デザインディレクター 佐藤 達郎 プロフィール】
学生時代は音楽に没頭するもアンティークやグラフィカルなデザイン小物に魅かれ現在の仕事に。文具・雑貨のセレクトショップ「DELFONICS」「Smith」を国内とパリのルーヴル地下にて展開。商品からショッププロデュースまでデザインディレクションに関わるほか、ヴィンテージアイテムの買い付けまでこなす。近年は外部のオフィスロビーや住宅などの空間デザインも手がける。「文具は道具であると同時に文化の入り口でもある」という哲学のもと、使う人の感性や創造力に刺激や自由をもたらし、豊かにしてくれるような文具作りに取り組む。
おかげさまで来期で40期を迎えます。創業したのはバブル期で、平成6年に当社初のセレクトショップを自由が丘に構えました。その後、区内の八雲にオフィスを構えています。私は父の転勤が多く、各地を転々としましたが、20代半ばで都立大学駅のそばに住んだのが目黒区との縁でした。身近に緑も多く、沿線の遊歩道やお花見スポットなども充実していて、いいまちだなと思い、40年近く区内を拠点としてきました。
区長:都心のオフィス街でビジネスをするという選択肢もあったと思いますが、目黒区を選んでいただいた理由はどのあたりにありますか。
工藤:当社は代官山から中目黒に移転したのですが、社風がクリエイティブで自由な雰囲気です。そのため、オフィス街の会議室で何かを決めるより、日常生活に近い場所で事業を発展させていきたかったと聞いております。現在、目黒川沿いにありますが、自然を感じつつ、生活とのつながりを実感しています。特に食を扱っているので、お客さまとのそのような距離感が大切だと思います。
佐藤:私も都心に立派なオフィスを構えるというイメージは持っておりません。現在のオフィスも元々は倉庫だった建物をリノベーションしました。あえて東京の中心から少し距離を置くことで起きるズレによって、物事を俯瞰(ふかん)することができる面白さもあると思っています。
区長:目黒区にオフィスを構えることで、良い影響を受けたことなどはありますか。
佐藤:来社したかたから「海外に来たみたい」と言っていただける私たちのオフィスと、まちの雰囲気がマッチしていることですかね。東横線の中目黒駅から祐天寺駅、学芸大学駅、都立大学駅の界隈は、たくさんのクリエイターが住んでいるんですよ。当社としては、彼らに喜んでもらえるようなプロダクトをつくっていきたいと思っています。
工藤:クリエイティブな雰囲気というのは、私も分かります。ビジネスパートナーさんが全国からお見えになりますが、オフィスを見て「さすがですね」と言っていただけることが多いですね。それは目黒という場所だから実現できたと思います。
変化と感謝の1年
区長:令和7年を振り返っていただきたいのですが、経営者の立場から見て、どんな年でしたか。
佐藤:毎年感じることではありますが、昨年は特に時代の変化を実感しました。AI・DX技術の発展によってビジネス環境がめまぐるしく変わっています。私自身も年齢を重ねて、世代ギャップを感じることも増えてきました。
工藤:私も経営者として、外部環境の変化を痛感しています。移り変わるスピードが速いので、自分たちらしい経営を続けていくことは難易度が増していると思います。特に昨年はお米の値上がりなど、飲食店経営にとっては厳しい1年でした。そんな状況だからこそ「共感」や「つながり」が大切だと改めて感じました。例えば、弊社のお米は富山県となみ野地域のものを使わせていただいており、毎年、店長たちとともに田植え、稲刈りに訪れています。そうしたビジネスを超えたつながりがあるからこそ、苦しい時にも支え合うことができます。多くのビジネスパートナーさんをはじめ、働く仲間にも心から感謝しています。
区長:工藤社長のお話、大変共感いたしました。区政においても、人とのつながりを大切にし、誰もが安心して暮らせる環境を整えることが重要です。現在、区には3,500人程度の職員がいますが、そのうち女性が64%で男性が36%となっているほか、さまざまな状況の人が働いています。区役所はもちろんですが、区民全体のワーク・ライフ・バランスの実現はこれからの大きな課題だと思っています。また、災害に対して安心安全な街の実現を目指しています。例えば昨年の7月、9月に区内で強いゲリラ豪雨がありました。1時間に134mmの降水量を記録しました。こうした水害への対策強化のため、昨年「豪雨対策サポートプラン」を策定しました。その中で、例えば「止水板設置工事費の助成」については、個人への助成率を現行の4分の3から10分の9へ引き上げるとともに、法人への助成限度額も100万円から150万円へと大幅に拡充し、23区でもトップレベルの水準に引き上げました。他にも対策の拡充を図りましたが、地球温暖化や異常気象に伴う被害の激甚化を痛感した1年でした。
企業理念は「世の中の体温をあげる」。スープを通じて、身体と心の体温を上げ、温かな社会をつくりたい
デジタル時代だからこそ、手帳などで「内省の時間」を生み出すことが、創造的な思考につながる
理念をもとに今年の目指す方向性
区長:それでは、今年の抱負を教えてください。
工藤:引き続き、スープという料理の可能性を拡げて、あらゆる人と一つの食卓を囲む喜びや温かな時間をつくっていきたいと考えています。そして、一人一人に価値があると考えてもらえるような社会にしたいと願っています。そのために、さまざまな理由で食べる力に不安があるかたに寄り添う食べやすさに配慮したスープや、ベジタリアンメニューを提供するなど、食のバリアフリーを推進しています。忙しい日々の中でも、豊かで幸せを感じられるシーンをさまざまつくっていきたいです。
佐藤:私たちは「知的カルチャーアミューズメントの創造」を、この先の未来に向けた指針に掲げています。スマートフォンが普及する前は、手帳やノートを眺めて、アイデアなどを考える内省の時間がたくさんありました。現代はSNSを筆頭に、他人を意識した行動をすることが増えています。誰にも邪魔されない自分の思考やクリエーションを生み出す時間があるのは、とても大事だと考えています。
工藤:分かります。内省の時間って大切ですよね。私は、毎朝5分間、今何を感じているかを書き込むようにしていて、実は、御社の手帳を愛用させていただいています。
佐藤:そうなんですね。うれしいです。愛用していただいて、ありがとうございます。
区長:私も40年ほど前から、手帳に書く生活を続けています。今日、1週間、1カ月、1年と、自分の羅針盤という存在で、たまにめくってみると、「あの時、こんなことしてたんだ、こんなことがあったんだ、こんなトラブルが起きたんだ」と。大げさに言うと、自分の人生、自分史、人生史という感じがする、すごく大事なアイテムです。あとは、毎年の初めに短歌を手帳に書き留めています。ご披露すると「新しき手帖に記する スケジュール 温かき街 初春誓う」です。
区長:私の抱負は、災害や犯罪に強いまちづくりです。昨年11月末時点の実績では、区の刑法犯認知件数は23区で最も少ない数字でした。街の安心安全を推進する上で、防犯カメラの設置は重要です。今後も82ある全ての町会・自治会への設置を目指して、プライバシーにも配慮しながら、整備計画を前倒して進めていきます。では最後になりますが、区民や区内で起業するかたに向けたメッセージやエールをいただけますか。
佐藤:エールと言うには抽象的かもしれませんが、私が創業した頃も現代も、インディーズ精神やカウンターカルチャー、ロック魂のようなものから独特のカルチャーが生まれてきて、世の中を変えていきます。若い人たちには「もっと面白い仕事や、自分がやりたいことを見つけたい」といった気概を持ってほしいです。既存の枠組みに反発するという意味ではないんですが、「これでいいんだろうか?」という問いを大切にしてほしいと思っています。私たちもカウンターカルチャー的な志向で新しい価値を生み出す企業でありたいし、ここで働きたいと思えるような自由で魅力的な環境を作り、若い人たちが殻を破り、挑戦できるチャンスを広げたいですね。もちろん私自身も、今が自分の中で一番若いと感じているので、もう一度、仕事でも自分の人生でもロック魂とカウンターカルチャーを意識して取り組んでいこうとしています。
工藤:私もよく「なんでこうなっちゃうの?」という気持ちを大事にしてほしいと伝えています。ぜひ、ポジティブな意味で今ある隠れた前提や概念に気付いて変えていけるように取り組んでほしいですね。これだけ物や食品があふれる中で、今自分たちが世の中に何を提供していくのかを常に考えていて、まだまだ若い人たちに負けていられないなと思います。
佐藤:そうそう、分かります。
工藤・佐藤:若い人たちの勢いに私たちが置いていかれないようにしないと。負けずに頑張ります(笑)。
区長:皆さん、本日は本当にありがとうございました。私は、先ほどの短歌でも触れたように「温かき街」づくりにチャレンジしてまいります。つきましては、区政へのご理解とご協力を区民の皆さまに改めてお願い申し上げるとともに、今年1年の皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。
問い合わせ:広報広聴課(電話5722-9486、ファックス5722-8674)
めぐろ区報は、区ホームページから音声で聞くことができるほか、視覚障害などがあるかたのためのデイジー版もあります。詳細は障害者支援課支援サービス係(電話5722-9846、ファックス3715-4424)へ